one - half

今日は月が灰色だ

この世の不幸を表している

僕にはそう見えた


皆は月が灰色になることを知らない

僕しか知らない

何故って？

不幸なんて見たくないから


不幸を見ずして

幸福なんて得られないのに

絶望を知らずして

希望なんて訪れないのに


月が灰色の夜は

暗い世界が広がる


そろそろ僕も逝きますか

君は見てはいけなかった

わが闇の黒さなど


染めてしまうから

何もかもを

美しかった君の心でさえも


深く暗い

救いようのないそれは

もう随分と前から

わが心に住まう悪魔


天使の入る隙間など

どこにも創らず

感情を滅する


悲しみも

痛みも

何もない


襲ってくるのは

虚しさだけ


嗚呼

見てしまったのか

染まってしまったのか


嗚呼

嗚呼

君も

イイものばかりが降ってくるわけではない

この世の中で

僕が生きて逝くには少しばかり

しんどくて


昔、神様が作ったと言われている

黒い傘

よくないものを避けるために

神様が差す為の傘


雨や雪

雷や雹

そして世の中に渦巻く黒いモノ


一度染まってしまえば

もうあとには戻れない

もう黒以外のものには成れない


助けて

苦しい

助けて

△○×…

雨が降る

ずっと　ずっと

止むことはなく

雲も切れる予定もなく

太陽はただ隠れ

雨が


心の中の空は

いつも灰色で

時に黒く渦巻いている


この世は生き辛い

息　辛い


幸せは何かと

考えてみても

応え等周なく

人と同じように

転がっていることもない


金だ

平和だ

国だ

…金だ


巡り巡ってこの世は汚くなっていく

敗れた濾紙を何度も通って

汚れをさらに蓄えていく


嗚呼

嗚呼


雨が　降る

あの頃は華やかだった


世界が

街が

人が

私が


キラキラしてて

ピカピカしてて


どうしてだろうか

もう輝きの欠片も見つけられなくて

私は真っ暗な中にいる


呼びかけても

掴んでも

何も何も

応えてはくれない


嗚呼　嗚呼

嗚呼　嗚呼

世界よ


時代よ

僕の頭から離れてはくれない

僕の頭から消えてはくれない

名前も知らない綺麗な人


ただ少しだけ

目があっただけ

その少しの微笑みが

僕を虜にしてしまった


嗚呼

もう一度

もう一度会えたら


僕は

僕は

僕は


貴女のことをきっと殺してしまう
貴女がそれを望んでいるから