one - half

風が

世界が

言葉が


胸に刺さったまま

痛みを訴えている


僕には成すすべもなく

痛みとともに生きるしかない


柔らかく　温かいそこは

刃の鞘となり

涙を流している


いつまで耐えられるのか

いつまで耐えなければならないのかと

叫ぶ胸の悲鳴が聞こえる

あそこに

ここに

あっちに

そっちに

こっちに

あちらに

こちらに

あれ　それ

これ　どれ


たくさん

たくさん

湧いて出た


赤い液体　湧いて出た


下を見てみれば

赤い泉


もっとよく見てみれば

人　人　人

目には見えぬ線

人と人を

地と地を

水と水を

国と国を


どうしてか人は線を引きたがる

そうして地を血で争う

そして人と国は腐っていく


この世は腐敗している

浄化されることを知らない

望まない


人は涙を流す

心では嘲笑う

血を流すたびに

地は潤う


こんなことを詠っても

境界線はなくならない

詩人が忠告していることなど

誰も耳を貸しはしない

この匂い

人が焦げる匂い


嗚呼　堪らない


燃やせ

どんどん燃やせ


僕の身が黒く果てるまで

食べてしまおうか

飲み込んでしまおうか


貴女が僕を

食べてしまう前に

僕が貴女を食べてしまいたい


貴女の

血も肉も精神も

僕の一部として

朽ち果てるまで一緒に


嗚呼

震えが止まらない

僕に無数に刺さる針

世の中の針は

僕をめがけて飛んでくる


神様は

僕のことを針山とでも思っているのだろうか


痛いよ

痛いよ

辛いよ


逃れる術を知らない

針が今も飛んでくる

針は今も刺さっている


もう、