one - half

撃たれたわけじゃない

型を抜かれたわけでもない

もともと空いていたわけでもない

じゃあ何故？


此処に空いたまあるいおおきなあなからは

どろどろと何かが流れてくる

これは何？


僕は飲み込まれて

どれくらいかの確率で二度と戻っては来れないのだろう

何処から？


疑問を持つしかない僕を

許してはくれなかった

おやすみなさい

僕はもう無理です

おやすみなさい

僕はもう逃げなくてはなりません


この世界には

辛いことがありすぎる

悲しいことがありすぎる

白いままでいられたなら

何度そう願ったのだろう


おやすみなさい

永遠に

雨が降る

何もかもを流してしまうような

激しい雨が降る


街も

世界も

自分さえも

みんな流されてしまえばいい

雨に飲まれてしまえばいい


誰も幸せを持てないこの時代に

生きている意味など

持ちはしないのだから

記号の中に詰まっている愛は

一つだけでは収まらなくて

どんどん増えていく


魔の記号は知らぬ間に

いくつもの愛を含み

膨張もせずに

一つ一つ確実に自分に染み込ませていった


誰も気づかぬ間に

そう　ゆっくりと

闇を抱えた人間は

そう多くはない


病むという言葉を多用する時代

体ではなく心が病む

少し落ち込んだこだことでもその言葉で代用する


しかし闇というものは

どうすることもできないほど

壮絶なものであって

闇を抱えている人間は

間違っても病んだなどと口に出すことはない


心の闇は

暗く寒く孤独であり

その名のとおり

闇に迷い込むこと

僕はちっぽけだ

体がどんなに大きくなっても

心が小さいまま


小さくて　小さくて

どうすることもできない


許せない

大嫌い

死んでしまえばいいのに


ああ

世界なんてなくなればいい

僕なんてちっぽけな人間

いなくなればいい