one - half

おてんとうさまは暖かくて

風は涼しく気持ちがいい

世界は春色に包まれている


君は微笑む

" 春色が世界が包んでいくよ "

僕は言った

" 僕と君だけの秘密だよ "


季節の色が見えると

君は満開の笑顔で言った

美しいこの国の四季が

君を選んだ


僕は君と出会って

色に満ちた世界を生きることになった

君は僕と出会って

何か得られたのかな


気持ちのいい風が一つ

僕と君の間を通り抜けていく

目を伏せた君が美しくて

思わず見とれてしまった

そんな僕を見て君は笑う


恋したことはないけれど

愛する人はここにいる

これから、生きていく先で

恋をすることがあっても

君だけは変わらないと約束しよう


" 恋愛 " だけが

" 愛する " ことじゃない


春色に包まれた世界で

僕と君は心を感じていた

人は

生まれながらにしてスイッチを持っている


人は

知らず知らずにスイッチをONにされている


それに気づいた人だけが

スイッチを切ることができる


ONなんて疲れてしまって

ONなんて嫌になってしまって

ONなんてもうどうでもよくて


OFFにすればきっと

すべてが終わる

耳を澄ましてみると

君が近づいてくる音がした

でも僕はそっぽを向いたまま

君の声がするのを待ってみた


でも

その音は通り過ぎていき

振り返ってみると

君は違うところへ逝ってしまった


どこまで逝くの？

いつ戻ってくるの？


問いかけてみても

君は振り返らない

呼びとめてみても

君は止まらない


耳を澄ましてみれば

君がいない世界の音が聞こえる

君となら

茜空さえも怖くはなかった


君となら

茜空さえも美しかった


でももう

君はいない


茜空が迫ってくる

美しいなんて思えない


君を奪っていった空は

僕を覆って

真っ赤に染めていった

のびて

のびて

碧く茂る


花は散った

だが命は散ってない


まだ　いけるさ

まだ　いくさ

どこまでも


空に葉が生えている

卒業することは

居場所をひとつ失うこと

だけど夢の居場所に向かう

一歩でもある


怖いよね

寂しいよね

悲しいよね


居場所をひとつ失えば

心をひとつ失う


夢に続く道への代償


さあ　行こう

桜の散る花びらをくぐって

新たな地へ


さよなら

ありがとう