one - half

ナイフを持った天使が

僕に問いかける


"あなたの心が欲しいものは"


考えてみても

わからなくて

息苦しさが増した


赤く光るナイフが

僕にはとても羨ましく見えて

それが欲しい、と答える


天使は微笑んで

最期の優しさをくれた

毛布みたいなの


私の大好きなもふもふした毛布は

いつだって私を優しく包んでくれる

暖かく　気持ちよく


でも


あなたが隣にいる時は

そんな毛布が邪魔になる

だってあなたが毛布になってくれるから


ごめんね

大好きよ

だけど

今だけは

僕らが生きた証を


僕らが刻んでいく


世界に　時代に


僕ら自身に

誰でも

夢を見られる時代

そんな贅沢が

世界を腐敗させていく


生きることを大切にできない

死ぬことを大切に思えない

じゃあ　何が大切なのか


心と心で共鳴する

人と人は繋がりを求める

好き　という感情と

嫌い　という感情で


腐敗の中に

残る宝石は

毒となり　浸入する

夢となり　逃亡する


繰り返す時間

私は　誰だ

心から溢れる嘘が止まらない


嘘　嘘　嘘


私は嘘を着てこの世界を生きている


嘘　嘘　嘘


あなたが好きだということも　嘘

あなたが嫌いだということも　嘘


この嘘がやんだら

私は何に成れるのだろう

この嘘が空っぽになったら

私はあなたのことを忘れられますか？

いつも隣には君がいた

気付けば側に君がいた

笑っている君も

泣いている君も

怒っている君も

全部　愛おしくて


心の中に陽だまりみたいなところがあって

やり切れない想いも

どうしようもない想いも

そこに行けば

暖かい想いを思い出せた


陽だまりをくれたのは　君


でも


あの時から君はいなくなった

隣を見ても

周囲を見渡してみても

手を伸ばしたら

空を切った


あ、雨が降ってきた

頬が濡れているのは雨のせいかな


君を思い出すのは

きっと今日が最後です