one - half

僕の頭から離れてはくれない

僕の頭から消えてはくれない

名前も知らない綺麗な人


ただ少しだけ

目があっただけ

その少しの微笑みが

僕を虜にしてしまった


嗚呼

もう一度

もう一度会えたら


僕は

僕は

僕は


貴女のことをきっと殺してしまう
貴女がそれを望んでいるから

闇が来ない

光が溢れて

目がチカチカする


僕は闇の世界に逃げたいのに

光に囚われて息ができない

体が言うことを聞かず

金縛りにあったようだ


闇を知らず

闇に生きていない人間は

眩しくてチカチカする


僕には必要ないんだ

いい加減離してくれ

苦しくて　死にそうだ

飲み込んだものは何？


君が今


ごくりと飲みんだものは何？


君はニヤリと笑う


そうか


僕の心を君は食べてしまったんだね


どうりで自由が効かないと思った


責任


取ってくれなきゃ困るから

赤い鳥が飛んできた

ぱたぱたと

僕のもとへ


目も足も嘴も

全部真っ赤なその鳥は

赤く僕を見つめる


僕は気が狂いそうになって

鳥を払った


ぽとり


鳥は堕ち

死んでいった


その死体は

この世のものとは思えないほど綺麗で

僕は見惚れてしまった


赤い鳥が運んできたのは

僕の醜さと欲望


嗚呼なんて惨めな結末なんだ

僕に聞こえていたはずの声は

時間が経つとともに薄れていった


君の美しく穏やかな声に

安心していたんだ

いつまでも側に在ると


気づいたときには

その声は消えていて

辺りを見回してみると

誰もいなかった


馬鹿だって笑えばいいさ

笑ってくれるだけでいい

もう一度でいいから

声が聴きたい


時間が奪っていった君の声は

何処へ

幸せでないことを

幸せだと思う


幸せでないことの先に

幸せがあると思う


それはきっと夢に似ている


夢はいつもこの手にあるわけじゃない

突然現れてはふわふわと存在し

突然消えたかと思えば暗闇を置いていく


藻掻いて　足掻いて

傷ついて不幸せになる


だけどその先に夢を夢見る


嗚呼

なんて不毛なんだ